「現実が1ミリも変わらないのに、心だけ整えて何になるの?」
正直に言うと、僕も昔はそう思ってました。
気休めのカウンセリングとか、ふわっとした「自己啓発」の類いには、かなり強い拒否感がありました。
そんなので、直接的に、家族の問題が解決するわけじゃない、借金が減るわけでもない、仕事がうまくいくわけでもない。
それなのに「心を整えましょう」って、どの口が言うんだろう、と。
だからここで話したいのは、「癒されましょう」とか「前向きになりましょう」ではありません。
現実を変えるために、自分というマシンの性能をどうやって最大化していくか、そのための“メンテナンス”の話です。
頭を空っぽにするのは、現実逃避じゃなく「再起動」のためです。
家族の問題、お金の不安、仕事のプレッシャー。
こういうものが重なってくると、頭の中がずっと同じテーマで占有されます。
- 起きているときも、不安。
- 仕事をしていても、不安。
- 寝ようとしても、不安。
ずっとバックグラウンドでフル稼働しているスマホみたいなもので、脳のメモリがパンパンになっている状態です。
この状態になると、人は本当にIQが下がります。
冷静な判断ができなくなる。(実はこれが一番やばい)
- 昨日だったらスルーできた一言に、過剰に反応してしまう
- 本当はやるべきことがわかっているのに、手が動かない
- 選択肢があるのに「もう全部ダメだ」と感じてしまう
「解決策が見つからない」のではなく、「解決策を考えるスペースが脳の中に残っていない」のが本当のところだと思うんです。
だから、一時的に頭を空っぽにするのは、現実逃避ではなくて、パソコンやスマホのように
- いったん電源を落として
- 余計なアプリを閉じて
- 再起動する
そのための「メモリ解放」作業なんですよね。
現実派のための「脳の再起動」
ここからは、僕自身がやってきたことや、現実派の人にもギリ許容してもらえそうな“再起動のしかた”を3つ紹介します。
1)紙に全部書き出す
(エクスプレッシブ・ライティング的なやつ)
難しい名前はどうでもよくて、やることはシンプルです。
- 今頭の中でぐるぐるしていること
- 人には言えない本音
- 将来の不安、怒り、情けなさ
これを、誰にも見せない前提で、紙かメモ帳にひたすら書きなぐります。
きれいにまとめようとしなくてOK。誤字脱字もどうでもいい。とにかく「脳の中身のコピー」を外に出すイメージです。
誰かを傷つけてしまうような内容でも構いません。とにかく書き殴り出し切ります。
書いている最中に現実は1ミリも変わりません。
でも、書き終わったあとに「あ、さっきより頭の中が静かだな」と感じられたら、それがもうメモリ解放の第一歩です。
頭の中だけで考えていると、あいまいな不安がずっと滞留します。
紙の上に出すと、「これは今すぐの問題」「これは未来の心配」「これはただの妄想」と、少しずつ仕分けができてくるんですよね。
2)タクティカル・ブリージング的な呼吸で、身体から「ストップ」をかける
不安がピークになるとき、体はずっと「戦うか逃げるかモード」にはいっています。
このモードのままでは、まともな判断はできません。
そこで、あえて「呼吸」からブレーキをかけます。
やり方はシンプルです。
- 4秒かけて鼻から吸う
- 4秒息を止める
- 4秒かけて口から吐く
- 4秒そのまま休む
これを、2〜3分くらい繰り返してみてください。
最初はバカバカしく感じてもOKです。
むしろそのくらいでちょうどいいかもしれません。
目的はリラックスではなく、「自分で自分の状態にブレーキをかけ直した」という感覚を取り戻すことです。
呼吸だけでも、心拍数は下がるし、体の緊張も少しずつゆるみます。
3)身体の緊張をほどいて、脳に「安全です」と教える
不安でぐるぐるしているとき、実は体のあちこちがガチガチになっています。
肩、首、背中、顔、歯を食いしばっている人も多いです。
こういうときに「考え方を変えましょう」と言われても無理です。
先に、身体側からアプローチした方が早い。
例えば、布団の上や椅子に座った状態で
- 手をぎゅっと握りしめて、ふっと力を抜く
- 肩を耳に近づけるくらい持ち上げて、ストンと落とす
- 顔をくしゃっとしかめて、ふっと力を抜く
こんな「力を入れて → 一気に抜く」を、体のいろんな部分で繰り返します。
これを全身でやると、脳は「今はとりあえず安全らしい」と判断し始めます。
気持ちが落ち着いたあとにやるのではなく、むしろ「気持ちが暴れてどうにもならないときこそ体から先にいじる」がポイントです。
整えることが目的じゃなく、「次の一手」を打つための準備
ここまで読んで、「で?結局、何も解決してないじゃん」と感じるかもしれません。
その通りで、ここまでの話は全部「準備」です。
家族の問題が解決するわけでも、借金が減るわけでも、仕事が勝手に増えるわけでもない。
ただし、ここを飛ばすと、いつまでたっても同じ場所で空回りし続けることになる。
僕はそういう時期を体験したことがあるので、ここだけは声を大にして言いたいところです。
頭のメモリを少し空ける。
呼吸と体を通じて、スイッチを「戦闘モード」から「思考モード」に戻す。
そのあとにやっと、
- 誰に相談するか
- 何から整理するか
- 今日は何を一つだけやるか
こういう「現実の一手」を落ち着いて選べるようになります。
1日5分でいいから「マシンのメンテ時間」を作る
ここまで書いてきたことは、全部合わせても1日5〜10分でできます。
それで人生が一発逆転するわけではないけれど、「何もできない時間」を「準備している時間」に変えることはできると思うんです。
現実がしんどいときほど、「心を整えるなんて余裕ないよ」と感じるのは当然です。
でも、そのしんどさを抱えたまま走り続けて、ある日突然、完全に動けなくなるリスクもある。
そうなる前に、
- 頭を一度まっさらに戻して
- 次の一手を打てる状態に戻す
この“再起動の5分”を、どこかに差し込めるといいなと思っています。
現実はすぐには変わらないかもしれません。
でも、同じ現実を見ていても、「自分のコンディション」が変わると、見える景色は確実に変わります。
その少しの差が、半年後、一年後の「選べるカード」の枚数を分けていくんじゃないかな、と僕は思っています。